2006年も年の瀬を迎え、私も理事長職から別れる時となりました。この1年、大変多くの皆様に支えられここまで来ることができました。まずは御礼申し上げます。
私が理事長として、「日本の未来を真剣に語り、本気で動く」原動力になったのは、この国に対する危機感でした。愛の反対とされる「無関心」の蔓延は、「関わりたくない、自分さえ良ければいい、他人はどうなってもいい」という道徳以前の精神が育まれ、「子供の虐待、家族間の殺人、陰湿なイジメ」という現実の姿に表れています。
さらに市民の意識が「政治が悪い、行政が悪い」「国が何とかしてくれる」といった他人依存や、「自分が何をしても変わらない」と言った閉塞感により、無責任になっています。こんな国家存亡の危機に、青年世代の自分達が何もしなくて良いのか?この時代にJCに所属している自分が何か出来ないか?そんな一念がここまで走ってきた力となっています。
このような市民の「無関心、他人依存、無責任」の意識を変えるには、市民の社会参画を推進していかなければなりません。国民が国家に何かを求めるのではなく国家に対し何が出来るかを考え行動する仕組みや制度が必要なのです。その行動は国民が主権者として権利のみを主張するのではなく、国民としての義務を果たしていくことにも繋がります。
昨今は市民の求める公益が多様になり、それらに応える多様な存在が必要になっています。そんな存在として、NPOや市民活動が台頭してきました。このような芽を育て、伸ばす仕組みや施策が重要です。公益活動を行う団体を支援しようとする市民を増やしていくことや、NPOなどが生き生きと活動できる仕組みを作ることにより、社会に関心を持ち自らの力で解決していこうとする地域が自然に形成されていくのです。
今後の地方分権、地域主権型社会の流れを見据え、財政面も含めて責任の持てる地域を育成することは、行政だけでは出来ない仕事です。ここに市民の活躍する場が現れ、やりがいや活力と共に自立した市民による自立した地域の創造が実現します。
そしてその過程には、抜本的な業務見直しを含めた強い覚悟で行政改革を行う必要があり、地域行政と市民が真剣な議論を重ねることが不可欠です。つまり、「地域行政の変革に向けた具体的な運動」を行うべきなのです。
今年の重点テーマとして掲げたこの運動を示すために、新年の1月例会では改革派知事として知られた前宮城県知事浅野史郎氏をお迎えし、理事長対談を行いました。
浅野氏は「本物の民主主義」を目指す必要性や本物の反対は「お任せ民主主義」であり、身近な地域に関わることが大切という、私たちの主張と同じ発言をされ、運動方針に間違いの無い事を確認できました。
そして、地域行政の変革に向けた具体的な展開として市民討議会の普及を目指しました。
市民討議会というネーミングや開催方法については色々と模索が必要ですが、「市民の声をかたちにする」仕組みが数多く出来れば、市民の声を聞くのが当たり前になり、市民による市民のための社会が形成されるのです。東京JCは市民討議会を通じて、「無関心な市民の意識を変革する」ことや、「行政に頼ったお任せ民主主義の現状を変える」ことに繋げて行きたいと考えています。
今年のスローガンである「日本の未来を真剣に語り、本気で動こう」とは決して大きく風呂敷を広げた訳ではありません。教育、環境、安全、ゴミの問題など身近なことでもその先は日本の未来に繋がっています。
ゴミを拾うだけなら毎日拾い続けなければなりませんが、ゴミを拾うことによって何に気付くのか、ゴミが捨てられないように何を変えるのか、ゴミが出ないようにどうすれば良いのか、常にそんな視点と議論があった上で行動に移さなければ、単なる自己満足に終わってしまいます。
実践なき理論は空虚であり、理論無き実践は暴挙です。どんな問題も未来に繋がると「真剣に」議論し、その実践に向けて「本気で」動くことが大切なのです。JCは単に良い事をするだけの団体でなく、社会を変える自覚と責任を持って運動して欲しいと思います。
最後になりましたが、本年度の東京青年会議所運動にご協力を頂いた関係各位に心より御礼申し上げます。また今後共、より一層のご支援を賜りますようお願い致します。
そして、理事長を支えてくれた東京JC全てのメンバーにも、心から感謝申し上げます。
私が理事長職を全うすることが出来たのも、皆さんと共に運動ができたからです。
来年以降の更なる活躍を期待します。1年間本当にありがとうございました。
「日本の未来を真剣に語り、本気で動こう」
〜使命感と勇気で社会を変える〜
2006年12月27日
社団法人東京青年会議所
第57代理事長 高橋克之