少子化対策について |
高橋克之理事長
(以下「高橋」) |
私たちの本年度スローガンでもありますが、日本の未来を真剣に考えたときに少子化対策は外せない政策だと思います。現状の解決すべき要因で大臣はどのような点から取り組んでいったら良いとお考えでしょうか。
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猪口邦子大臣
(以下「猪口」) |
これまで、エンゼルプランと新エンゼルプランに基づき、保育関係事業の拡充を行ってきましたが、これは引き続き拡充が必要です。
そしてより幅広い観点から施策を展開しなければならないと考えています。一つは、若い世代の経済的自立支援、特に正規雇用への道を開いていくことです。もう一つは、仕事と家庭が両立できる社会を実現していくことです。
現在、日本の女性は7割の方が第一子出産とともに退職しています。残りの女性のうち7割が育児休業制度を活用していますが、男性の取得率は0.56%と大変低いです。しかし1、2か月でも育児休業を取ると価値観が変わると言われます。
職場に戻ったときには、女性従業員に対する眼差しが変わり、理解があるようになります。男性の取得率が80%の北欧は出生率と経済活力を回復できたわけです。企業側には、積極的に育児休業取得を促進していただきたいです。また、育児休業をして戻った女性に、男性もですが、短時間勤務の許容をお願いします。短期的にはコスト高になるでしょうが、会社のイメージアップにもつながるのではないでしょうか。
日本は、リーダーが責任を持って新しい時代を見据えていかなければいけないと思います。トップが時代を切り開くことを理解する経営者も多いと思いますので、東京青年会議所に加入している企業においても、その時代のメッセージを発信いただきたいと思います。
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新しい社会のあり方 |
| 高橋 |
新しい時代を見据えた方針をトップダウンで示し、リーダーが情熱を持って行動することは、企業でも社会でも共通しますね。当然、その時代の流れも読まなければならないですが。 |
| 猪口 |
それに共感した人が重役室に入るという人事権も使った抜本的なリーダーシップを発揮しないと、時代の流れを変えることはできません。これからは、少子化の風をつかむ企業が勝つ、少子化対策の風をつかむ自治体が発展する、少子化対策の風をつかんだ候補者が勝つのです。 |
| 高橋 |
少子化対策は未来を見据えた時に大変重要な政策ですが、政治の中であまり重要視されてこなかった感があります。それは票にならないからと言われる事がありました。 |
| 猪口 |
政治家はよくわかっています。予算も人々の関心も雇用もそういう分野で発展できると。労働集約的なところは人がたくさん集まるので、たくさんの票のある世界です。ほとんどの家庭がお子さんを持っているので、少子化対策は家庭の深いところに働きかける施策なのです。 |
| 高橋 |
若い世代の経済的自立、正規雇用の促進ということですが、実は今、中小企業は、どこがそんなに若者の就業不足だと言われているぐらい、人材を募集してもなかなか採用できません。これからは人材も流動化という形の流れになってくると思いますので、時代の多様性に求められた形で企業側も雇用していくと思います。 |
| 猪口 |
若い世代は、10歳年上の人の運命を見ています。今いる従業員が幸せかどうかで、
そこで働くかどうかを決めるのです。そういう情報がたくさんあって、本も出ています。 |
| 高橋 |
企業も、単に利益を出すということだけでなく、従業員の価値観に応えるとか、雇用の手法にも工夫と思いやりの対策を行うことが今後の企業価値でもあるのですね。
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出産に対する意識改革から |
| 猪口 |
魅力を感じる企業か、自分の人生で労働の中断があったとしても大事にしてもらえる企業かを見て、働くかどうかを決めるのです。労働集約的な分野の仕事を、日本経済として作る必要が絶対あります。ヒューマンタッチが必要な分野のビジネスが増えればいいのです。その代表格が育児、子育てビジネスです。 |
| 高橋 |
我々は様々な運動を、個人の意識改革と社会システムの改革という二つの柱に考えて行っているのですが、少子化というのも子どもを産めないという意識の問題が大きいですね。そして産んだ後に育てる仕組み、システムが大切です。この間、大臣が出産無料化(フリーバース)という案を出されました。それに対し、効果が無いような意見が世論調査で出ていたようですが、私はすごくわかりやすくて、意識を変えるときには、これ位のインパクトがある政策が必要と思います。 |
| 猪口 |
非常にいい意見を言ってくださいました。今、団体を束ねる理事長として発言されましたが、様々な経験をされている方々からの意見に基づく政策を作ることで、失敗のない政策になるわけです。どの政策も万能薬ではありません。人の認識の仕方に作用する。実にそうなのです。 |
| 高橋 |
意識の問題で言うと、子どもを産むのが大変だというイメージがある中で、そうではないという意識改革につなげることが必要ですね。損得の考え方はあまり好きではありませんが、子どもを産んだほうが得だという印象を与えるのも一つだと思います。ただし、対策に対し財源をどうするかも問題です。独身の方と税制面で差をつけるのは現在でもありますが、控除による差はあまり印象が無いように感じます。 |
| 猪口 |
ただ、子供のいる女性医師が24時間診療で突然コールされたらベビーシッター代は必要経費ですが、今は控除できません。だから、控除は重要なわけです。払う税金のところでは、子供が一人いたら10万円引くとか。あとは給付です。課税最低限に達しない若い世代こそが救済を必要とするのなら、給付は重視しなければいけないと考えています。 |
| 高橋 |
そうするとまた財源をどうするかということがありますね。 |
| 猪口 |
国民世論が大きく盛り上がってくれれば、民主主義政府ですから予算拡大あるいは制度の拡大はできると思います。ただ、十分に国民合意ができるかどうかです。それに勝負をかけて「骨太方針2006」に反映させたいと思っているわけです。 |
| 高橋 |
インパクト的に独身税とか、そのようなものはどうですか。 |
| 猪口 |
結婚・出産は個人の自由な選択と状況の結果で、産めよ増やせよ的なところに戻ると生きにくい社会を作ってしまうのではないですか。子供が生まれて経済的に大変なとき、育児に疲れ果てているときに、社会全体で支えてあげるという温かみのある政策を展開したほうがいいと思います。独身でだめだというメッセージではなく、みんなで子育てする社会、子育てする国家像を考えていきたいと思っています。 |
| 高橋 |
青年会議所のメンバーにも独身が結構いますので、少しはお役に立てるかと思いましたが(笑)先ほど男性が育児休業をされて世界観が変わるというお話がありました。
みんなで子育てするということを経験することにより新しい価値観が生まれ、義務感ではなく、充実感をもった子育て国家になると良いですね。
本日は、ありがとうございました。 |