新年ご挨拶

謹んで新春のご挨拶を申し上げます。 旧年中ひとかたならぬお世話になり、誠にありがとうございました。当会も皆様のお陰をもちまして、無事に新春を迎えることができました。 本年(社)東京青年会議所は設立から60年目を迎えることとなります。一年、一年と積み重ねられたこの歴史は、東京青年会議所に属したシニア・現役メンバーのみならず、皆様から多くのご協力を得て達したものだと思っております。

60年前、東京青年会議所が設立された1949年、世界を見回せば、NATO(北大西洋条約機構)の発足や前年に起こったベルリン封鎖、インドネシアの独立、そして日本では、湯川秀樹氏がノーベル賞を受賞するなど、確実に戦後から次代への胎動を感じ得た時期にあたります。

一方、その時代に生活する人々の心には、肉親を失い、飢えに苦しんだ記憶はまだまだ傷跡として残っていたはずです。その時代の人々が目指した社会とはどんなものでしょうか。自分達の子供や孫が安全で生命の危機に怯える事無く、飢える事の無い社会。この日本を物質的に豊かな国にし、物で溢れる社会を作り上げれば、人々がものを奪い合う行為も、愛する人を失う事もなくなる社会。そのような社会を思い描き、一生懸命に私達の祖父母は働き、この国の復興に多大な貢献をしてくれました。

戦後から約60年、確かに日本は物質的に豊かで便利な国になりました。最低限の生活は国によって補償されるばかりか、一人ひとりに車やテレビが行き届き、世界中の美食が街には溢れています。さらに、行き過ぎた便利さは、家から一歩も外に出る事もなく、人とまったく接触しないで生活をする事も可能にしています。私達の求める豊かな未来とは本当に現在の延長線上にあるのでしょうか。私にはとてもそのように思えません。

豊かになったはずの社会でも、愛するべき子供達への暴力、敬愛すべき親に対する暴力、飢えの苦しみが無くなりながらも増える自殺率等、悲痛な事件・事実がなくなることはありません。私は、物質的に偏った豊かさや極度の便利さが心の歪みを生む現在、このまま進む私達の未来は明るいものとは思えません。

そんな社会を少しでも良い社会にし、次代を担う子供達に引き継ぐ為に大切な事は、私達一人ひとりの価値観を変え、意識を持って社会と関わることです。これまでの時代、しっかりと働き、この国を何より優先して富ませる事が社会への貢献と同義だった時代から、市民一人ひとりが仕事と私生活の合間に社会と関わる事を現代の社会は必要としています。

既に成熟社会に突入した日本では、社会のあらゆるシステムを変えられるのは、一部の政治家や行政、巨大な営利企業だけではありません。社会的責任を担う事もそれら一部の人間や企業ではありません。飢えや生命の危機から開放された日本では、豪華さや浪費が豊かさの象徴であった時代は既に過去のものです。私達が社会の矛盾に声をあげ、自然環境を思い生活を変え、子供達の教育に率先して関わってこそ、この国は変わって行くはずです。

東京青年会議所はこのような意識と青年としての責任、自覚を持ってより良い社会に向っての運動を本年も継続して参ります。60年という節目を機に一同一層気を引き締めて、皆様のご期待にお応えできるよう努力いたしたいと存じます。

 今後とも倍旧のお引き立てならびに、皆様の益々のご健勝をお祈り申し上げます。