
5月18日(月)、東商ホールにて5月例会「I Will Tokyo 〜いまこそ志民で創る 東京の意思(WILL)」が開催されました。今月も早くから多くの一 般参加者がお見えになり、開会前に東京JCについて映像とアナウンスにより紹介させていただきました。

第1部は社会学者で首都大学東京教授の宮台真司氏による基調講演でした。私たち市民が「志民」として能動的に社会参画していく上で「相互扶助」「自
立」というキーワードを提示していただきました。今の社会は経済的には豊かかもしれませんが、実際には「小売店の衰退によるシャッター商店街」「出会
い系サイトとそれを悪用した犯罪」「農業の衰退」などといった様々な問題が指摘されています。
しかし、それらの問題はなかなか解決の方法を見つけることができません。こういった社会の疲弊から脱するためには私たちがアクションを起こさなくては
なりませんが、実際にはそういった問題に「無関心」であったりします。そこで、私たちがそういった問題に目を向けるにはどのような方法をとれば良いの
か、また母体でもある「社会」がいかに動いていくかを考えていかなくてはなりません。そのためには個人が自立するのはもちろんですが、個人が連携して
地域を動かしていき極力「公」が介入することなく自分達で自立した社会を創り上げていくというのが大切です。
事業などで自ら能動的に動く立場として、多くのメンバーがこの講演からヒントをつかんだ有意義な講演でした。
第2部は、宮台氏をファシリテーターとしたパネルディスカッションが開催されました。元志木市長で現在はNPO法人で地方の自立について研究されている
穂坂邦夫氏、朝日新聞記者として政治取材の第一線に立ち、現在は同社の編集委員をされている坪井ゆづる氏、NHKのディレクターとして自殺問題を取材し
現在は自殺対策支援のNPOを運営されている清水康之氏をパネリストとしてお招きし、熱い討論が展開されました。ディスカッションの要旨は以下のとおり
です。
パネルディスカッション
| 宮台 | 地域の再生のため、具体的に何から手をつければよいでしょうか。 |
| 清水 | 問題解決のために何ができるかというステップの前に、何が起きているのか、何が問題なのか、なぜ起きているのかといった実態把握が必要であり、実態把握ができれば問題解決の半分はできたようなものです。自殺の問題について何が起きているのかをお話させていただきます。年間に自殺で亡くなる人は3万人です。交通事故で亡くなる人の6倍です。これが11年続いています。 数週間前に清水由貴子さんが亡くなりましたが、テレビを見ていてある言葉にはっとさせられました。友人の方々が一様に口にしていた言葉です。「まさか」という言葉です。私がこれまでお会いしてきた数百人の遺族の方々のほとんどがこの「まさか」という言葉を口にします。現実に「まさか」が起き続けているのです。なぜ「まさか」というかたちで人が自殺に追い込まれていくのかを分析しなければ、永遠にこの「まさか」が起き続けてしまいます。 「まさか」の先を調べていくと、共通点がおぼろげながら見えてきまし た。これまで社会問題の解決のしたは施策者本位だったと思います。これを当事者本位、現場本位に変えていかなければなりません。 |
| 穂坂 | 1点は道州制というお話がありましたが、どうも日本は間違って考えやすいです。道州制も分権もすべてが基礎的自治体を中心としていくための単なる手段、つまり補完的なシステムにすぎません。 2点はどんな社会をこれからつくるべきかという論議が日本でまったく起きていません。少子高齢社会、成熟社会が加速しています。しかし昔からのシステムを新しく切り替えることができません。様々な改革がすべて小手先の改革で全部失敗に終わっています。抜本的改革を行わなければ、日本と一緒に 基礎的自治体も沈没してしまいます。 3点は志木市長だった時、すべてを市民の人たちに担ってもらったらどうかという実験をしました。これからはそっくり自治のやり方、政治のシステムを変えなければなりません。志木市を村落共同体と位置づけて市民の皆さんが有償ボランティアを行う。500人の職員を50人に減らすという案を公式 にまとめて配ったことがあります。10年、15年後には必ずそうなります。 最後1点は東京で緊急患者のたらい回しという問題があります。しかし一過性の問題として終わりにしてしまいます。それは無関心だからか。テーマ設定が悪いから無関心になってしまうんです。誰が何をやっているのか分からない滅茶苦茶な行政システムがたらい回しを続発させていると言っても過言で はありません。自分達の身近な問題として関心を持ってもらうような課題の設定をしなければなりません。 |
| 坪井 | 分権ということを考える時に、国と自治体の関係は対等になったと口では言うものの、全然なっていない実態があまりに多いです。穂坂さんの500人を50人にするというのは行革ですが、すごいのは有償ボランティアで市民委員会を作って市民に決めてもらうということをいくつもやり始めたことで す。清水さんから施策者本意の製作を当事者本位の製作にするというお話がありましたが、分権はすべてそうです。基本的に現場を知っているのは自治体であり市民です。霞ヶ関の机の上でルールを決めて、補助金をあげるんだからこのルールに沿ってやってねということをずっとやってきている。そしてもうもたなくなってきているから地域に渡しましょうというのが分権です。当事者本位の政策をつくるためにも地方分権が必要です。 夕張の事例では4つの無があったと思います。(1)住民の無関心、(2)議会の無能力、(3)金融機関の無責任、(4)メディアの無能力 |
| 宮台 | なぜ毎年3万人が自殺をしているのでしょうか。何が起きているのでしょうか。 |
| 鈴木 | 一言で言うと必要な対策が講じられていないからです。そのための実態把握もできていません。2006年に自殺対策基本法ができるまでは、自殺は個人の問題でした。従って対策を社会で行うという発想もありませんでした。 法律ができたのは社会問題だからという側面もありますし、同時に社会問題として政府が認知したということでもあります。こうして問題が社会化しました。次に必要なのが実態把握です。 |
| 宮台 | なぜ行政は今起きていることをモニタできないのでしょうか。 |
| 坪井 | パイが膨らんでいた時代の惰性を引きずっているだけだと思います。誰がなっても毎年税金が10%増えて、ハコモノが建った時代が確かにありました。今はそれでは回らなくなっているので、合理化の結果としての変化が徐々に表れてきていると思います。20年前のいい加減な議員のやり方はもう全国で行われていないと思います。 |
| 宮台 | どういう町や地域の市民達が、自分達でやるしかなくなった時に鋭い動機付けを発揮できますか。 |
| 坪井 | 法則はないと思います。かつて栄えた町は市民の方々に蓄えがある分、ものを考えるという印象があります。 |
| 宮台 | 住民が施行停止に陥らないための余裕、余力は何だと考えますか。 |
| 穂坂 | 金があってはだめです。金が無くなっていよいよ尻に火がついてきて、自分達が政治、社会を変えなければならないとなる。実際には各自治体に非常に金があります。しかし地方は尻に火がついた絶好の機会が来ていると思います。 |
| 宮台 | 自殺を誘導するような自殺者の周りにある関係性はどのように理解すればよいでしょうか。 |
| 清水 | 現場の問題は規制緩和により複雑化しています。そういう問題にたいしての対応力を社会はまだ持ち得ていません。なぜならば現場から遠いところで問題解決策を設計しているからです。そんな中NPOの果たす役割は大きいと思います。当事者の意見に耳を傾けてそこから対策を立案していくことです。 そしてその事例をパターン化し、社会の中で共有していくことが重要です。 あと休職制度があればプレーヤーが増え、現場本位の問題解決が展開できると思います。 |
| 宮台 | 行政のモニタ能力には限りがあるということは皆さん共通していると思いますが、モニタ能力のある方々と連携するための具体的な知恵はありますか。 |
| 穂坂 | モニタを機能させるには役割分担を明確化しなければなりません。 |
| 坪井 | その通りですが非常に難しい問いかけです。自分達の身の回りは上下関係で動いています。今問われているのは、それを横の関係にしましょうということです。横の連携が本当にできるのでしょうか。 |
| 穂坂 | 役割分担を明確にすれば、縦型社会から横型社会へ移行できると思っています。 |
| 清水 | 役割分担を明確にするには実態解明が不可欠です。しかし政府一体と言いながら、情報共有すらできていません。あらゆる意思決定のプロセスに介入していくことが必要です。 |
| 宮台 | 情報公開は単に市民の知る権利だから重要なのではありません。どうして知る権利が重要なのかを議論していません。情報を与えられなければ市民は自分達の社会を自分でつくるためのリソースを遮断されたことになってしまいます。ですから情報公開に賛成するか反対するかということは、自分達のことを自分でやるということを許容するかしないかをめぐるせめぎ合いであることを頭に入れてください。 |
| 清水 | 4年前に理念として掲げたモットー「新しいつながりが、新しい解決力を生む」が、今は確信に変わっています。 |
| 坪井 | 自分で決めなければならない面倒臭い社会になります。でもそれは主権者の仕事です。 |
| 穂坂 | 役割分担だけで経費削減できます。やはり市民の皆さんが今後主役でやっていかなければならないと思います。 |
開催の様子
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