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2010年度理事長 安藤 公一

11月1日

 つい先日まで騒がしていた猛暑が嘘のような気候で驚きとともに迎えた11月、皆様いかがお過ごしでしょうか。青年会議所の11月は毎年、一年間の総仕上げの時期であります。多くの事業が終了して来年に向けその検証を行い、さらなる青年会議所運動の飛躍につなげるために、また来年の事業の一つひとつが成功するために準備する大切な期間です。日頃より私たち東京青年会議所へご支援、ご指導いただいている皆様方におかれましては、年末も差し迫りお忙しいと存じますが、来年の骨組みを作り上げる大事な時期に貴重なご意見、ご指導を再度いただけますよう心よりお願い申し上げます。また、この度、鹿児島県奄美諸島での豪雨に伴い、多くの住民の皆様が被災し、また尊い命を失われた犠牲者の方々に心よりご冥福をお祈りいたします。
 さて、今週も様々なニュースが世間を騒がしています。私はそのうち3つのことについて述べさせていただきたいと思います。
 まずTPP、環太平洋戦略的経済連携協定についてです。政府の試算として3省庁がバラバラなTPPによる経済効果を発表しました。長い間保護されていた農家の皆様にとって大きな影響があることは間違いないでしょう。しかし、戦後外貨を獲得して成長し続けた日本にとって、貿易は欠かせないはずです。私たちの生活には海外の製品があふれ、また日本製品は「メイド・イン・ジャパン」ブランドとして世界の人から多く支持をいただいていると言えます。経済大国としてGDPが中国に抜かれ3位になったからと言ってもこの世界の大きな潮流に乗らずに、鎖国時代に戻るような保護主義を日本国民は望んでいないと私は考えています。
 次に事業仕分け第3段の中から、コメの備蓄についてです。日本人のコメの消費量は約700万トンだそうです。先日の事業仕分けの議論は100万トンのコメ備蓄について議論されていました。なぜ100万トンなのでしょう。結果はコストがかかるから10から20%の圧縮が決定されました。本来この政策は安全保障のはずです。コストだけを議論して国民の消費量から考えてコメが凶作だった時用にわずか1.7カ月分の備蓄で大丈夫なのでしょうか。ニュースでは農家が大変になるというインタビューが乱立していました。政策の根本の議論を行わずコストだけの議論で仕分け人は圧縮を主張して、農林水産省は農家の保護のために、テレビではかわいそうな農家を取り上げる。国民の安全保障について真剣に話し合いそのコストはいくらまで振り分けられるかという議論が必要だと感じます。  最後に企業献金についてです。マニフェストでは企業献金の全廃を約束していたそうです。政治家の言葉は重く、マニフェストはそれを見えるようにしたものだと思います。少なからず国民はこの方向転換には、裏切られたように感じたと思います。
 私はこの3つのニュースは別々の問題ではなく根本的な問題は政府の姿勢が矛盾することに起因すると考えています。事業仕分けではコメの備蓄を減らせと言っているのに、TPPでは農家のために「TPPを慎重に考える会」を110人の議員が結成する。企業献金をもらい企業が政治に関与することを事実上認めながら、経済については世界の潮流に乗ることを躊躇しているように思えます。  事業仕分けで今ある財源の振り分けだけに終始し、仕分けしたお金は農家の個別保障などに使い、TPPでは将来の保護主義を目指して農業国家日本を形成し、そのうえで今だけは政治活動に必要なお金は海外に進出して利益を得ている企業に頼り、その企業についての海外進出には政府は足枷となる。日本の未来はどこに向かっているのでしょうか。
 政府は国の進むべき長期的な未来を国民に明確に示し、すべての政策決定は政府自身が示した進むべき未来から矛盾してはいけないのです。国の長期的未来像から矛盾する政策が乱立しなければ、企業だけでなく農家に至るまでは国が示す未来に向け、自分たちの方向性を短期的、中期的な戦略を立てることが出来るようになり、それは利益となり、それこそが国民全体の生活向上につながるのだと私は考えています。すべての問題はマニフェストでしっかりとした国の未来を問いたださずに政権を与えてしまった私たち国民にも大きな責任があるのではないでしょうか。私たち国民一人ひとりが政治と向き合い今日だけの政策議論ばかりに注視するのではなく、日本の未来についてどのように進むべきなのか真剣に考え、政府はそれを提示して、未来に向かって一つにならなければいけない時が、今なのではないでしょうか。

平成22年11月吉日

社団法人東京青年会議所
2010年度 第61代理事長
安藤公一(あんどうたかかず)