理事長所信(あいさつ)
公益社団法人 東京青年会議所 2012年度 理事長所信
公益社団法人 東京青年会議所 第63代理事長 昼間太朗

今、私たちの覚悟が求められている!
これまで不況と叫ばれ早20年が過ぎ、未だ日本経済再生への展望は開けていない。しかし、この状況下においてさえ、世界から見れば、まだ日本は平和で豊かな国であるといえます。これは、ひとえに偉大な先人達の血のにじむ努力によって築き上げた、この国の大きな財産といえます。
今、多くの国民は自由・平等・権利を主張しつつも、自分たちの進むべき道に無関心を決め込み、リーダーが不在であると他人事のようにつぶやいている。巷で大切なことは個人の自由であり、親が子を殺し、子は些細な金のために死んだ親を弔いもしない。経済、少子化、環境、教育、エネルギー、社会保障、自分たちの生活に直結した問題にすら見向きもしない。もはや誰が主権者なのかということさえ忘れ去り、放蕩息子のように先人達の財産を食い潰していく。
今、この国はいったい何処へ向かおうとしているのでしょうか。
経済大国日本は過去の栄光となり、総合的に見ても、日本の国際競争力が目に見えて落ち込んでいることは、明白です。
今、私たちはこの国の輝きを取り戻し、もう一度立ち上がるための岐路に立たされているのではないでしょうか。
一人ひとりが社会との関わりの中で、思いやりの心を持ち、自らの責任を全うしていく。そして、私たちが共に生きるために「一人ひとりが将来の希望を選択できる社会」を真剣に考え、行動していかなくてはならない。その最大の鍵となり得るのは、私たちJAYCEEが、真の勇気と情熱を持って社会に広がる諸問題に対峙し、立ち向かうことができるか。
その覚悟にこの国の未来がかかっているのです。
震災復興を通じて得ること
2011年3月11日14時46分、東日本で発生した大震災によって日本列島に刻まれた傷跡は、未だ色濃く残り、復興にはまだ長い道のりを辿らなければなりません。東京でも直接的・間接的被害に遭っているメンバーも、数多くいるのではないでしょうか。被災地では今でも多くの同志が、自らも被災者でありながら地域のため、子ども達の未来のために立ち上がり戦っているのです。
私たちは震災後、即座に日本JCと連携し、物的・人的支援・義援金、そして、復興に向けた政策を実行してまいりました。2012年度も東京JCがスポンサーをした仙台JCと綿密な連携をとり、首都東京の青年経済人ならではの視点をもって、二歩三歩先のニーズを先読みした、独自の復興支援活動と産業振興支援を、継続して行っていく必要があります。
東京で暮らす私たちに、今できることは何かを真剣に考え、率先して行動していく。
これが私たちの決意であります。この復興にかかる経費は30兆円にも上るといわれています。
年間国家予算規模85兆円ほどのこの国の財政状況は、既に悪化の一途を辿っており、少子高齢化が進み、かさむ医療・社会保障費が大きな問題となっています。その中、復興にかかる経費を如何様に捻出するのか、また、原発事故処理や、今後のエネルギー政策に関する経費がさらにかさむことは、容易に予測できます。この震災により国家的にも、各自の経済的にも、大打撃を受けたということは先のとおりです。 しかしながら、私たちは責任世代であり、青年経済人の集いです。地域のリーダーを自負する東京JCは、戦後の復興を成し遂げたときのように、復興支援活動を通じて如何に様々なものを吸収するのかを考え行動し、さらに次代を担う若年層を育成する責務があります。
繋がりが稀薄なこんな時代の中でも、誰かのために何かをしたいと思う、そんな気持ちを持った若者たちとの活動は、きっと私たちに新たな気づきを与えてくれるはずです。目標に向かって真剣に考え行動する私たちの背中を彼らに見せることで、私たちJAYCEEが若者たちの目標となり、次の時代を担う若者たちに、たくましく生きぬく力を伝えることができるのです。
その力こそが東北に、そして、日本に元気を取り戻させることができるのではないでしょうか。
ただ、忘れてはならないことは、私たちの住むこの東京も、建物の倒壊による犠牲者の発生、そして、多くの帰宅難民を出したインフラの脆弱さの露呈、その後の経済的混乱。規模は違えども確実に被災地の一つなのです。
この復興活動を通じ、東京も東北と共に着実に成長していかなくてはなりません。私たちは今回の経験を、あの時感じた思いを、決して風化させてはならないのです。
この経験を活かして、震災に関わる全ての被害を我が事と捉えながら、思いやりに溢れ、たくましく生き抜く力を持った人々が息づく都市「東京」を、作り上げていく必要があるのです。
政策実践力のある団体へ
政治や社会問題に対し、自らの意見を持って議論するということは、社会人として必要な姿勢であり、重要な能力です。しかし、今、私たちの議論の多くは、JCの中のみで終わってしまっているのではないでしょうか。
JCは机上で議論をするだけの集まりではなく、常に説得力と具体性を兼ね備えた政策を発信し、実践する力が伴った団体でなくてはならないのです。
自分たちの目線からのみ物事を見て、仲間内だけの議論で終わっていては何も変わりません。私たちは評論家の集団ではなく、常に地域や社会を変革する、実務家の集団でなくてはならないのです。
現状、この国の政治は、機能不全に陥っています。地域のことは地域で決めることが難しい状況です。今、この国には地域のことは地域で決める、JCでいうところのLOM主権の考え方が、まさに必要であることが露呈されています。
この国は後戻りができる状況には無いのです。私たち青年が、誰かの背中を追う時代ではありません。お任せ民主主義やお任せ政治は、完全に終焉を迎えさせねばならないのです。
私たちは、責任世代の代表として、JCメンバー一人ひとりが、全ての活動の中で、この社会の中で共に生きるためにどうしたらより良くなるか考え、日々の生活や活動の中で行動、発信していく、それこそが政策実践力なのです。
この政策実践力を持ったメンバー達が、一人でも多くの人を惹きつける、魅力的な運動を社会に発信すること無く、たくましい東京を実現することはできません。
何事も伝わらなくては意味がなく、動かなければ何も変わらない。
変えるべき物事の本質は何なのか。
発信すべき相手は誰なのか。
ターゲットに対してわかりやすく、伝わりやすい、より具体的な仕組みを考え、実践することこそが私たちJCが社会から求められている姿なのです。これは決して難しいことではありません。私たちは経済人の集まりであり、何かしら社会と関わりを持ちながら仕事をしています。
普段の社会経験や、会社経営の中で顧客に対してどのように対応しているのか。
売るには、買ってもらうには、自分たちが普段行っている、ごく当たり前の経済活動と置き換えて適応していけばよいのです。
そして、過去JCで行われた豊富な運動の蓄積や62年の軌跡の中から、社会と築き上げてきた社会関係資本、つまり私たち一人ひとりが「東京JCという武器」を最大限に活用し、一人ひとりのメンバーが時流にあった解決策を導き出し、実践に移すことができれば、社会はきっと変わっていくはずです。
さあ、JCという武器を最大限活かし、政策実践力のある団体として共に未来を開いていきましょう!
23の魅力を1つの輝きに
全国に700以上ある青年会議所の中で、1つのLOM内に23もの行政区が存在している青年会議所、それが、「23の魅力溢れる地域」を有したこの東京JCなのです。
現在、各地区委員会ではそれぞれが地域に根ざした繋がりの中から、また、それぞれが持つネットワークをフルに活かし、様々な特色のある事業を展開しています。
その中で、地域を取り巻く問題を敏感に察知し、綿密な調査と有益な情報を受発信しながら、説得力のある運動を展開していかなくてはなりません。
そして、展開した運動の効果を最大化し、地域の代表者として、産官学や各種団体と交流連携を即時にとれるネットワークをより強め、更なる信頼の絆を結ぶ必要があります。
今、23の地域にはそれぞれの魅力と共に、地域内のコミュニケーション不足、公共意識の低下、個人主義、無関心、または産業空洞などそれぞれが様々な問題を抱えているのです。
その中での地区委員会の役割は、5年10年先の地域の未来図を描き、私たち青年経済人の経営感覚、そして、コスト感覚を持った政策を実践し、問題解決の糸口を見出していく。
日々の活動の中で得た情報を蓄積し、地区事業推進会議で共有し、同じ問題を抱える地域で即座に水平展開できる組織力を強化することで、それぞれの輝きが1つの大きな輝きとなり地域をたくましく成長させ、東京をさらには日本を支える確かな力となり得るのです。
そして、地域の中で顔の見える、地域から頼られるリーダーを育成していく。 「あの人が言うことならば間違い無い」「あの人がやるなら一緒にやろう」 卒業後も地域の中で、一人のJAYCEEとして、率先して活躍することのできる人材を輩出していくことが、地区委員会の大きな使命といえるのではないでしょうか。
JCには数多の成長の機会があります。しかし、その機会に手を伸ばすか伸ばさないかは、あなた次第なのです。JC活動に地域の隔たりはありません。これからも積極的に、そして、今まで以上に「学びの場」「成長の場」を提供していきたいと考えています。JCを大いに活用し、多くの友と共に、自分を変え社会を変える武器を磨いていきましょう。
地域を最初に輝かせる、それはあなた自身の輝きに他ならないのですから。
女性が輝く東京へ
日本の社会を形成する男女の役割分担は、古くは、男性が働き女性が家庭を守る、というモデルが一般的でしたが、現代では、活き活きと社会で活躍する女性の姿が、多く見受けられるようになりました。一歩、日本を抜け出してみると、女性の社会進出はさらに積極的で、大企業のトップや首長、さらには大統領などという、重責あるポジションについているケ-スも少なくありません。
私たちJCも、世界に目を向けますと、全世界のJCI会員の55%が女性メンバーであり、女性LOMの存在や、会頭、理事長、役員職に就いているのは一般的な光景です。
翻って我が国に目を向けると、残念ながら女性の理事長や役員は、まだまだ少数なのが現状であり、国際都市として、そして日本の青年会議所運動の発祥の地であるこの東京においても、未だ女性の理事長は誕生しておりません。
古来より日本人は、日本創世記に記されている太陽の神・天照大神を信奉するという感性をDNAに持っています。
これからの時代、男性の視点だけではなく、しなやかな女性の視点と発想をより活用することは、これからこの東京JCを、そして東京という地域をより活性化するためには必要不可欠な要素であるといえます。
女性の特性を活かし、地区の枠を超えた連携をとりながら、新しい時代における理想の女性リーダー像と新たな魅力を発信し、この東京を輝かせていきましょう。
たくましい東京を創る
長期の景気の低迷、財政赤字、様々な山積する問題に加えて、大震災と原発事故が加わった日本を、海外では「日本は立ち直れない」と予測した国もあり、第三の敗戦といわれることもあります。
震災後の政治・行政に対して、国民の不満や不信は募るばかりですが、本来事実を伝えるマスメディアも、その場その場の情報に踊らされ、人々は社会の中で多数飛び交う安易な情報に、いつしか流されてしまい、政治家が悪い、時勢が悪いと結局は無関心を決め込んでしまっている。
その政治家は自分たちが選び、自分たちが主権者であるということを忘れ、問題の責任転嫁や、他者依存、社会や政治への無関心等の自覚と覚悟を持てない人々や、生き抜く力を持てない若者が増えている。先ずはこの東京から何とかしなくてはいけない。
一人ひとりが社会に対し関心と明確な意志を持った、「たくましい市民」が生まれる土壌を創っていく必要があるのです。
将来に対し明確なビジョンを持ち、したたかで、たくましくなくてはならない時代です。その社会の中心となり得るのが私たちJC世代の青年たちなのです。
私たちは社会人として、経済人として、親として、男性として、女性として、それぞれの個性を活かし、社会を開いていくことを実感できるフィールドを、多くの人々に提供する必要があるのです。今、この首都東京に生きる青年として、諸問題に真剣に向き合い、議論に終わることなく、たくましい人々が集う都市「東京」を作り上げるため、私たちの一人ひとりの持つ英知を結集し、未来に向けた運動を展開していきましょう。
これから、私たち青年がどんな夢を描き、20年後30年後の東京の、そして子どもたちの未来のために、どんな種を蒔くのでしょうか。
未来に向けて、様々な災害や有事に強いインフラを兼ね備えた都市機能を考えることは、街のグランドデザインを描く上で確かに重要です。しかし、建物を造り、そこに人が集わなくては、その建物はただの箱でしか有りません。
たくましい都市を創る、そのためにはこの東京という都市に、活き活きと、夢や目標に向かって進んでいく力を持ち、社会をより良くしていこうという意欲に溢れた、そんな魅力ある人々を増やしていかなくてはならないのです。
経営感覚を持つ私たちJAYCEEが道を示し、新しい価値を社会の中に生み出し、「たくましい東京」を共に創りあげていきましょう!
良き仲間達と出会い、共に成長を実感していく
近年数多くのNPOが設立され、また、数多くのボランティア団体が活動をする中、「JCしか無い時代からJCもある時代」と言われるようになりました。しかし、本当にそうなのでしょうか。数多くあるNPO、ボランティア団体の中で、私たちと目的を同じくしている団体が本当にあるのでしょうか。
戦後の焼け野原から立ち上がり、国内経済の充実と、国際経済との密接なる提携を目的とし62年の歴史の中で、先輩諸兄達が社会の中で必死に培ってきた信頼と実績、そして、数多くの指導者を社会に輩出してきました。
東京JCは25歳から40歳を定年とし、常に新しい感性と、各々が社会生活の中で培った経験を基に様々な機会を通じ共に磨き合い、地域のため、国家のため、世界のために役立つ人材を輩出する。つまり、人間開発から始まる社会変革を目的とした唯一無二の個性を持った団体、それがJCなのです。
しかしながら、最盛期約1,500名のメンバーを擁した東京JCも一時は500名前後となり、ここ数年の拡大の努力によって増加傾向にあります。2012年度も、より社会に対し、メンバー一人ひとりが東京JCの持つ魅力を発信し、拡大をより推し進めていかなくてはなりません。
そして、メンバーの減少に伴った問題として、メンバー半数以上が入会3年未満で卒業年度に近いといった状況は軽視できない問題となってきています。
これからの東京JC、ひいては東京という地域を支えるリーダーとなっていくJCメンバーの拡大と研修に、より一層力を入れ、新しい感性を持つ新入会員と共にJCの魅力を再認識し、今まで以上に強く発信することが私たちの運動の大きな力となります。人は人とぶつかり合い、触れ合わなくては磨かれることはありません。共に様々な機会を通じ謙虚に学びながら、常に自分の許容範囲を1つ超えた課題に取り組んでいきましょう。自分の会社で一つ失敗をすれば全てを失うかもしれません。しかし、JCでは失敗も自分を成長させる糧と成り得るのです。
失敗を恐れ何もしないそれでは何も始まることはないのです。大いに失敗しその失敗の中から学び成長に結びつけることができる。それがJCという組織なのです。
62年間の歴史において、4,000名以上に上る諸先輩方が培ってきた信頼と実績、そして、ブロック、地区、日本JC、国内約40,000名のメンバーとの出会い、海外ではメルボルン、ソウル、マニラ、台北、シンガポールシティ、といったシスターLOMをはじめとするJCI、約16万人の仲間、そして、中華全国青年連合会との37年にも及ぶ繋がりがあり、それらの繋がりは、私たちが自分の殻から1歩踏み出すことから全てが始まり、彼らはその殻から飛び出した私たちを、昔からの友の様に迎え入れてくれるのです。
戦後の敗戦色もまだ色濃い頃、新日本の再建と世界への信頼回復を夢見て真っ先に立ち上がった私たちの創始者は、一体何をこの東京JCに託したのでしょうか。日本国内での社会的・経済的 リーダーシップはもとより、世界で活躍する青年経済人を、この東京JCで作り上げていくことも視野に入れていたに違いありません。
そして、社会の中で得た自らの経験を活かし、運動を作り上げていく中で、共に磨き合いながら、社会の中で身近なリーダーへと成長していく姿、このメンバー一人ひとりの成長こそ、東京JCの持つ大きな魅力であり財産なのです。
JCは自らの成長を試みて、自己成長していこうとするメンバーに多くの機会を共にし、見聞を広げていく機会を提供してくれます。
そして、そんな人間に磨き上げられるきっかけを、人生の道場と言われるJCの中で、必ず見つけることができるのです。
私はJCと出会い、自分のために真剣に語ってくれる多くの先輩達と出会うことができました。
私はJCを通じ自分と共に歩んでくれる本当の仲間を得ることができました。
もしJCに出会わなければ、私は目標もなく、ただ漫然とした人生を過ごしていたかもしれません。
私たち青年が一日休めば社会の成長は一日遅れていくのです。
自分自身をより成長させることこそが、社会が変わる第一歩。
一人が変われば必ず社会は変わっていきます。
一灯を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ。ただ一灯を頼め ~佐藤一斎~
もう立ち止っている暇は有りません、もう誰かの背中を追うのではなく、自分自身の意志と力で、覚悟という灯を灯して、この長い闇夜を打ち払い、共に進み出しましょう。
明るい未来へ向けて。